
この記事は、フリーランス実務資格「個人事業経営士・CFQ」監修のもと作成しています。
こんにちは。
フリーランスひかるです。
本業のほかにバイトや副業を始めたら、労働時間は本業と合算されるの?
それとも別々に数えるの?
と気になったことはありませんか?
でも実は、同じ副業でも、雇われて働くバイトなら合算され、業務委託なら合算されないという大きな分かれ目があります。
ここを知らないと、割増賃金(残業代)が出るはずの場面を見逃しかねません。
あなたの副業は大丈夫でしょうか?
この記事では、副業の労働時間の通算ルールを、厚生労働省のガイドラインをもとに整理しました。
通算の対象かを確かめる早見表と、本業や副業先に伝える文例もまとめました。
✅ この記事を読むとわかること
- 副業の労働時間が「通算される場合」と「通算されない場合」の違い
- 通算されたとき、割増賃金(残業代)を払うのはどの会社か
- 通算されるかを自分で確かめる3ステップと、そのまま使える申告メモ・文例
副業の労働時間は通算される?バイトは合算、業務委託は対象外
結論から言うと、本業も副業も会社に雇われて働く場合は、労働時間が合算(通算)されます。
一方、業務委託やフリーランス、個人事業として働く副業は、通算の対象外です。
根拠は、労働基準法38条1項です。
事業場が別の場合(事業主が別の場合も含みます)でも、労働時間は通算して数える、と定められています。
(e-Gov法令検索「労働基準法」)
通算されると、1日8時間・週40時間という法定労働時間を超えるかどうかを、本業と副業を合わせて数えることになります。
なぜ、会社が別でも時間を合わせて数えるのでしょうか。
実は私も、この仕組みを最初はよくわからないまま、「そういうものなんだ」で済ませていました。
副業の労働時間を通算する理由は、ルールの基準が「会社」ではなく「働く人」だから
法定労働時間は、働く人の心身の健康と、ゆとりある生活を守るために決められています。
(厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」)働く人の体は、会社が別でもひとつです。
だから、雇われて働く場合は、会社ごとではなく、本人の働いた時間の合計で数えます。
逆に、労働基準法の労働時間のルールが適用されない働き方は、通算の対象になりません。
副業の働き方別に、通算されるかどうかを表にまとめました。
| 副業の働き方 | 通算される? | 注意点 |
|---|---|---|
| バイト・パート・派遣など、雇われて働く副業 | 通算される | 本業との合計が1日8時間・週40時間を超えた分に、割増賃金(25%以上)が必要になります。時間外労働をさせる会社には36協定も関係します |
| 業務委託・請負・フリーランス・個人事業 | 通算されない | 労働時間のルールの対象外です。ただし、契約書が業務委託でも、働き方の実態が雇用と判断される場合は、労働基準法が適用されます |
| 顧問・アドバイザー・コンサルタント・理事・監事など | 通算されない | 厚労省のガイドラインが、労働基準法が適用されない働き方として例に挙げています |
(出典:厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」)
割増賃金を払うのは、通算の順番で決まる
通算には、2つの数え方があります。
| 数え方 | 数える順番 | 割増賃金を払う会社 |
|---|---|---|
| 所定労働時間(契約で決めた時間) | 契約した順(先に契約した会社から、後から契約した会社へ) | 法定労働時間を超えた部分は、後から契約した会社の時間外労働になる |
| 所定外労働時間(残業など) | 実際に働いた順 | 通算して法定労働時間を超えた部分を、自社で働かせた会社 |
たとえば、本業のA社で1日6時間、あとから契約した副業のバイト先B社で1日3時間働く日は、合計9時間です。
1日8時間を1時間超えるので、その1時間は後から契約したB社の時間外労働になり、B社が割増賃金を払います。
割増率は25%以上です。
通算した時間外労働が1か月60時間を超えた部分は、50%以上になります。
(厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」)
割増賃金を払う義務を負うのは、働かせている会社です。
ただ、会社は本業の労働時間を知らなければ通算できません。
そのため、働く人からの届出や自己申告で把握する方法が、ガイドラインで示されています。
副業は1日何時間まで?法律に「副業の上限」はない
「副業は1日何時間まで」という決まりが、法律にあるわけではありません。
通算して1日8時間・週40時間を超えた分が時間外労働になり、会社が36協定を結んでいる範囲(原則として月45時間・年360時間)でしか働かせられない、という考え方です。
(e-Gov法令検索「労働基準法」36条)
なお、会社同士で月の時間外労働の上限を決めておく「管理モデル」という簡便な方法も、厚労省は示しています。
2社の合計で単月100時間未満・複数月平均80時間以内の範囲で決めますが、働く人の健康への配慮は別に必要です。
(厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」)
通算ルールの見直しも議論されましたが、社労士法人の解説記事(2026年5月時点)によると、2026年の通常国会への法案提出は見送りと報じられています。
現時点で、ここまでのルールは変わっていません。
(社会保険労務士法人T&M Nagoya「副業・兼業の労働時間通算ルール、見直し議論の現在地」)
副業の通算がわかりにくいのは、知識不足ではなく「会社側のルール」だから
私も、時間給で働くバイトなら合算、時間に縛られない業務委託なら合算されない、という認識でした。
調べてみると、この認識はほぼ合っていました。
ただ、「ほぼ」の部分に落とし穴があります。
1つめは、契約書が業務委託でも、働き方の実態が雇用なら、通算の対象になりうることです。
2つめは、通算されなくても、本業の就業規則で副業の届出が求められていることがあることです。
副業のルールの全体像は、副業禁止は違法?
就業規則で禁止でも副業できる場合と、競業避止・秘密保持の注意点でも整理しています。
3つめは、通算の義務を負うのが会社側であることです。
本人が知らないままだと、守られるはずのルールが、使われないまま終わってしまいます。
知らなかったのは、スキル不足でも、性格の問題でもありません。
通算のルールは、働く人ではなく会社に向けて書かれているので、本人が知る機会が少ないだけです。
副業のバイトを入れたら1日11時間。割増賃金は出るの?と聞かれた日

先日、会社員の友人とランチをしたときに聞いた話です。
彼は平日の昼間、本業の会社で8時間働いています。
最近、週に3日だけ、夕方から居酒屋のバイトを始めたそうです。
バイトの時間は3時間です。
帰りの電車で計算すると、その日は11時間働いたことになります。
「店長に聞いたら、うちは時給のままで、割増はつかないって言われたんだよね」
彼はそう言いながら、サラダのトマトから先に食べていました。
「副業って、そういうものなの?って思って。
でも、ほかの人に聞くのも変かなと思って」
私は「どうなんだろうね」と答えました。
そのときの私は、通算のルールを、まだ人に説明できるほど理解していなかったからです。
「まあ、収入は増えてるし、いいか」
彼はそう言って、話題を来週の予定に変えました。
バイト先に本業の勤務時間を伝えたのかどうかは、聞きそびれたままです。
副業の労働時間が通算されるか確かめる、今日からできる3つのこと
確かめる手順は、やる順番に3つです。
ステップ1、副業の契約書で「雇用」か「業務委託」かを確認する。
労働条件通知書や雇用契約書があれば雇用です。
業務委託契約書や請負契約書なら、通算の対象外が基本です。
ただし、時間まで細かく決められているなど、実態が雇用に近い場合は注意が必要です。
ステップ2、雇用の副業があるなら、契約した順と1日・週の時間を書き出して合計する。
本業と副業の所定労働時間、残業の時間を1日ごとにメモして、1日8時間・週40時間を超える日がないかを見ます。
ステップ3、超えそうなら、本業と副業先の両方に伝えて相談する。
本業の就業規則に副業の届出制があれば、会社の書式で届け出ます。
下の申告メモを、そのまま添えられます。
副業先にも、本業の労働時間を伝えて、割増賃金や上限の扱いを確認しましょう。
申告や相談をしたことを理由に、不利益な扱いをすることはできないとされています。
(厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」)
業務委託だけの副業の場合は、通算されませんが、体を壊さないよう、時間は自分で管理することが望ましいとされています。
業務委託の収入が、雑所得になるのか事業所得になるのかは、副業は雑所得?
事業所得?
帳簿があっても雑所得になる「10%の線」、あなたの副業は大丈夫?で整理しています。
そのまま使える|副業の労働時間の申告メモ(本業・副業先に伝える項目)
・本業の所定労働時間:[1日〇時間・週〇時間]
・副業先の事業内容と仕事の内容:[ ]
・副業の働き方:雇用(バイト・パートなど)/業務委託/わからない
・副業先と契約した日:[〇年〇月〇日](本業より前/後)
・副業の所定労働日と時間:[例 火・木・土 17時〜20時(3時間)]
・副業の残業:なし/あり[月〇時間まで]
・実際の労働時間の伝え方:[毎週日曜にメールで/月末にまとめて]
副業先(バイト先)に本業の時間を伝える文例
[店長・担当者名]様
お疲れさまです。[氏名]です。
私は[平日〇時〜〇時]に、別の会社で[1日〇時間]働いています。
副業先とあわせた労働時間は、通算して数えると聞きました。
私のシフトが、1日8時間・週40時間を超える日がないか、
割増賃金の扱いも含めて、一度確認させてください。
必要でしたら、毎[週・月]、本業の勤務時間をお伝えします。
[氏名]
この3つを順番に進めておけば、副業の時間が通算されるのかを、自分で説明できるようになります。
あなたの副業は大丈夫?3つの質問に「はい」「いいえ」で答えてみましょう。
副業の労働時間の通算に関するよくある疑問 
(個人事業経営士CFQ 監修)
Q1. 副業で1日8時間以上働いたらどうなりますか?
A:本業と副業がどちらも雇用なら、合計が1日8時間を超えた分は時間外労働になり、割増賃金(25%以上)の対象です。どちらの会社が払うかは、契約した順や実際に働いた順で決まります。業務委託の副業は通算されないので、この扱いにはなりません。
Q2. 副業で週40時間以上働いたらバレますか?
A:通算は、会社が副業の内容を把握して初めて動く仕組みです。届出制のある会社なら、申告の段階で伝わります。副業の収入があると、住民税の通知から会社に伝わることもあります(詳しくは住民税によって副業していることがバレた同僚の話から学ぶ|普通徴収を断られた時の【次の一手】チェックリスト)。隠して働くより、届け出たうえで時間を調整するほうが、割増賃金や体調の面で自分を守れます。
Q3. 業務委託だけの副業なら、何時間働いても問題ありませんか?
A:本業と副業を合わせて割増賃金を計算されることはありません。ただ、その分、働く時間と体調は自分で管理することになります。本業の就業規則で副業の届出や制限が決まっている場合は、そのルールにも従います。
Q4. 副業の労働時間の通算ルールは、今後変わりますか?
A:通算をやめる案が議論されましたが、2026年の通常国会への法案提出は見送りと報じられています(2026年5月時点)。現時点でルールは変わっていないので、変更が決まったときは厚労省の発表で時期を確認してください。
このように、副業の労働時間は、働き方が雇用か業務委託かで扱いが大きく変わります。
まとめ|副業の労働時間は、雇用なら通算、業務委託なら対象外。まず契約書から確認しよう
副業の労働時間は、雇われて働くバイトなら本業と通算され、業務委託やフリーランスなら対象外です。
通算されるときは、1日8時間・週40時間を超えた分に割増賃金(25%以上)が必要になり、払うのは契約した順や働いた順で決まる会社です。
知らないまま副業を始めても、責められることではありません。
まずは契約書を開いて、雇用か業務委託かを確かめるところから始めて、また迷ったら、この記事に戻ってきてください。
契約の種類、労働時間、割増賃金。
副業を始めるときに必要な知識は、ふだん意識しないぶん、一つずつ調べるのは大変です。
こうした実務の知識をまとめて体系的に身につける方法として、個人事業経営士CFQのような資格を選択肢の一つとして知っておくと安心です。
私自身、契約の種類や根拠を確かめる習慣がついてからは、クライアントとのトラブルが起きても、前より冷静に動けるようになりました。
副業の働き方も同じで、まず契約書で雇用か業務委託かを確かめる。
それだけで、慌てずに次の一手を考えられます。
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質問にチェックするだけで、あなたの今のレベルがわかります!
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この記事の監修者
フリーランスひかる
大手IT企業に勤務後独立。フリーランス歴10年超。
報酬未払い、契約トラブル、ブラッククライアント案件…いろんな修羅場を経験してきました。
「あの時知ってさえいれば…」という後悔をバネに、フリーランスの人が同じ失敗をしないよう、自分の身を守る知識と、今日からできる対処法をお伝えしていきます。
※フリーランス実務資格「個人事業経営士CFQ」監修
※個人事業経営士(CFQ)は、当機構が認定する民間資格です。
※記事内の法律・制度の情報は2026年10月時点のものです。就業規則や雇用契約の内容は会社ごとに異なります。個別の判断は、必要に応じて社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。




