
この記事は、フリーランス実務資格「個人事業経営士・CFQ」監修のもと作成しています。
こんにちは。フリーランスひかるです。
会社を辞めると決めたとき、退職日を「月末」にするか「月末の前日」にするかで、社会保険料や手取りが変わると聞いて迷っていませんか?
「1日早く辞めると保険料が1か月分浮くらしい」という話もよく見かけます。
私も会社員を辞めたときは、このあたりを本当にわかっていませんでした。
でも実は、その「よくわからない」をそのままにしないことが、損をしない辞め方のヒントになります。
あなたの辞め方、本当に大丈夫でしょうか?
✅ この記事を読むとわかること
- 退職日が月末か月末前日かで、社会保険料が1か月分変わる仕組み
- 「月末前日に辞めれば得」が当てはまらない人と、国民年金・国保の落とし穴
- 有給消化で退職日がずれるときの考え方と、住民税の徴収のされ方
退職日は月末と月末前日どっちが得?答えは「辞めた後の予定」で決まる
結論から言うと、翌月1日から次の会社で働くなら月末退職。
独立や転職活動で国民健康保険と国民年金に入るなら、差は思ったより小さい。
家族の扶養に入れるなら、月末の前日に辞めたほうが負担は軽くなります。
「1日早く辞めれば得」が当てはまるのは、実は一部の人だけなんです。
なぜそうなるのか、仕組みから順番に見ていきます。
私自身、会社を辞めたときにこれを知らずに退職日を決めていた経験があるので、その話もあとで書きますね。
なぜ1日違うだけで社会保険料が変わる?「資格喪失日」と月単位のルール
会社の健康保険と厚生年金は、退職日の翌日に資格を失います。
これを「資格喪失日」と呼びます。
そして社会保険料は月単位で計算され、資格喪失日が属する月の前月分までかかる、というルールになっています。
| 退職日 | 資格喪失日 | 会社の社会保険料がかかる月 | その月の保険 |
|---|---|---|---|
| 10月31日(月末) | 11月1日 | 10月分までかかる | 会社の健康保険・厚生年金 |
| 10月30日(月末前日) | 10月31日 | 9月分まで(10月分はかからない) | 自分で国保・国民年金などに加入 |
表のとおり、月末の前日に辞めると、会社の社会保険料は退職した月の分がかかりません。
これが「1日早く辞めると1か月分浮く」と言われる理由です。
月末前日に退職すると得?国民年金と国保は自分で払う
ただし、ここに落とし穴があります。
会社の保険から外れたその月も、日本では何かしらの公的保険に入らなければいけません。
家族の扶養に入らない限り、その月は国民健康保険と国民年金に加入して、保険料を自分で払うことになります。
月給30万円・40歳未満の人で、ざっくり比べてみます。
月末に退職した場合、本人が負担する社会保険料は健康保険(子ども・子育て支援金を含む)が約15,195円、厚生年金が27,450円で、合計約4.3万円です。
(健康保険料率は2026年度の協会けんぽ全国平均9.9%で計算。協会けんぽ「令和8年度保険料率のお知らせ」)
一方、月末の前日に退職した場合は、国民年金が2026年度で月17,920円。
これに国民健康保険料が加わり、金額は住んでいる市区町村や前年の所得によって変わりますが、仮に月2万円前後だとすると、合計は約3.8万円です。
差額は数千円程度ということになります。(日本年金機構「国民年金保険料」)
さらに、月末の前日に辞めると、厚生年金に入っている期間が1か月短くなります。
月給30万円なら、将来受け取る厚生年金(報酬比例部分)が年に約1,600円少なくなる計算です。
目先の数千円と、将来の年金の少しの差。どちらを取るかは人それぞれですが、「1日早く辞めれば丸ごと得」というほど単純ではありません。
自分の給料や予定で比べたい人は、下のシミュレーターで計算してみてください。
退職日の手取り比較シミュレーター
「月末に退職」と「月末の前日に退職」で、退職した月に払う社会保険料がどう変わるかを比べます。
退職月の給料で社会保険料が2か月分引かれるのはなぜ?
月末に退職した人がよく驚くのが、最後の給料で社会保険料が2か月分引かれるケースです。
多くの会社では、社会保険料を「翌月の給料から引く」ルールで処理しています。
そのため、月末に辞めると、前月分と退職月の分をまとめて最後の給料から引くことがあるんです。
多く取られているわけではなく、払うタイミングが重なっているだけなので、慌てなくて大丈夫です。
退職したら住民税はどうなる?辞める月で徴収のされ方が変わる
住民税は、月末か月末前日かではなく「何月に辞めるか」で扱いが変わります。
1月から4月に辞める場合は、5月までに払う予定だった残りの住民税を、最後の給料などからまとめて引かれるのが原則です。
6月から12月に辞める場合は、残りを自分で払う「普通徴収」に切り替えるか、本人が希望すれば最後の給料からまとめて引いてもらえます。
最後の給料が思ったより少なくて驚く原因は、社会保険料の2か月分と、この住民税の一括徴収が重なることが多いです。
業務は月末まで、退職日は翌月末?有給消化で退職日がずれる話
退職日を考えるうえで、もうひとつややこしいのが有給休暇の消化です。
最後に出社する日と、会社に在籍する最後の日(退職日)は、同じとは限りません。
たとえば、業務の引き継ぎは月末までに終わらせて、残っている有給休暇を消化すると、実際の退職日は翌月の末になる、ということがあり得ます。
有給休暇を使っている間も会社に在籍しているので、その期間の社会保険料は会社の保険でかかります。
「月末か月末前日か」を考えるべきなのは、最後に出社する日ではなく、この本当の退職日のほうです。
正直なところ、私は会社を辞めたとき、ここが本当にわかっていませんでした。
でもそれは、私の能力が足りなかったからではありません。
社会保険の資格喪失日や、保険料が月単位で決まる仕組みを、誰からも教わる機会がなかっただけ。
知識があれば、退職日は自分で選べる「手取りのスイッチ」になります。
「月末の前日に辞めると得らしいよ」を、独立したあとに知った話

会社を辞めると決めたとき、頭の中は引き継ぎと最終出社日のことでいっぱいでした。
退職届の日付は、言われた日をそのまま書いて出した記憶があります。
その日が月末だったのか、前日だったのかも、今ではもう思い出せません。
独立してしばらく経った頃、SNSで「退職日は月末の前日にすると社会保険料が1か月分浮く」という投稿が回ってきました。
その下には「それ、国保と国民年金を払うから大して変わらないよ」という返信。
さらにその下に「いや、扶養に入るなら全然違う」。
コーヒーを飲みながら、返信を上から順に読んでいきました。
誰の言っていることも、少しずつ正しそうに見える。
じゃあ、あのとき私が書いた日付は、どっちだったんだろう。
今日からできる3つのこと
退職日で損をしないために、辞めると決めたら次の3つをこの順番で確認しておきましょう。
ステップ1、辞めた後の予定をはっきりさせる。
翌月1日から次の会社で働くのか、独立や転職活動で国民健康保険と国民年金に入るのか、家族の扶養に入るのか。この予定によって、月末と月末前日のどちらが有利かが変わります。翌月1日入社が決まっているなら、月末退職にしておけば保険の空白ができません。
ステップ2、有給休暇の残りを確認して、本当の退職日をカレンダーに書く。
最後に出社する日と退職日を分けて考えます。有給休暇を消化すると退職日が翌月にずれることもあるので、給与明細や勤怠システムで残日数を確認し、退職日が何日になるのかを先に決めておきましょう。
ステップ3、国民健康保険料と国民年金の金額を確認して、差額を計算する。
国民健康保険料は市区町村ごとに違うので、お住まいの自治体の試算ページや窓口で確認します。その金額を記事の前半のシミュレーターに入れると、月末と月末前日でいくら変わるのかがわかります。辞めた後の保険の選び方は、フリーランスの社会保険、結局どれに入るの?損しない国保・年金・扶養・任意継続の選び方マップでも詳しくまとめています。
この3つを決めておけば、「なんとなく言われた日付で辞めて、あとから損していたと知る」ことはなくなります。

あなたの辞め方は大丈夫?3つの質問でセルフチェックしてみましょう。
退職日と社会保険料に関するよくある疑問 
(個人事業経営士CFQ 監修)
Q1. 有給休暇を消化している間も社会保険料はかかりますか?
A:かかります。有給休暇の消化中も会社に在籍しているため、健康保険と厚生年金の被保険者のままです。社会保険料は最後に出社した日ではなく、実際の退職日をもとに計算されるので、有給消化で退職日が翌月にずれた場合は、その月の分も会社の保険料がかかるかどうかを確認しておきましょう。
Q2. 月末に退職して、翌月1日から次の会社に入る場合はどうなりますか?
A:退職した月までは前の会社、翌月からは新しい会社の社会保険に入るので、保険の空白ができず、自分で手続きをする必要もありません。この場合に月末の前日で辞めると、退職した月の1か月分だけ国民健康保険と国民年金に入る手続きが必要になるため、月末退職のほうがスムーズです。
Q3. 退職後の健康保険は、任意継続と国民健康保険のどちらがいいですか?
A:任意継続は会社の健康保険に最長2年間入り続けられる制度で、退職日までに2か月以上加入していれば、資格喪失日から20日以内に申請できます。保険料は全額自己負担になるため、前年の所得で決まる国民健康保険料と比べて、安いほうを選ぶのが基本です。家族を扶養に入れられるのは任意継続のメリットです。
Q4. 退職日は自分で決められますか?
A:期間の定めのない雇用契約なら、民法上は退職を申し出てから2週間で辞めることができ、退職日も本人の希望が基本になります。ただし就業規則で「1か月前までに申し出る」などのルールがある会社も多いため、引き継ぎや有給消化の日数も含めて、早めに上司や人事と相談しておくと安心です。
このように、退職日の決め方ひとつで、手取りや手続きは変わります!
まとめ|退職日は月末か月末前日か、「辞めた後」から逆算して決める
退職日が月末か月末前日かで、会社の社会保険料は1か月分変わります。ただし月末の前日に辞めると、その月の国民年金と国民健康保険を自分で払うことになり、厚生年金の加入期間も1か月短くなります。翌月1日から次の会社なら月末、扶養に入るなら月末前日、独立や転職活動なら差額を計算してから。これが基本の考え方です。
退職の手続きは、気持ちの整理もつかないまま進むことが多いものです。日付で迷ったら、またこの記事に戻ってきて、シミュレーターで計算してみてください。
社会保険や住民税は、会社員のうちは会社が代わりに手続きしてくれる分、辞めてから初めて向き合う人がほとんどです。ひとつずつ調べるのは大変なので、こうした知識をまとめて体系的に身につける方法として、個人事業経営士CFQのような資格を選択肢の一つとして知っておくと安心です。
社会保険や税金の仕組みを体系的に学んでから、お金の手続きに向き合うときの感覚が変わりました。【ここにひかるの体験を追記】
▼あわせて読みたい
開業届の前に「与信」を確保。何から始めるかわからなかった私が、会社員のうちにやった独立準備の順番
フリーランスの国民健康保険料が高すぎる理由【3つの落とし穴】任意継続で後悔した実体験も正直にお話します!
✅ あなたの「税金・確定申告」に関する実務知識は大丈夫?
質問にチェックするだけで、あなたの今のレベルがわかります!
👉 フリーランス実務・チェックリスト

この記事の監修者
フリーランスひかる
大手IT企業に勤務後独立。フリーランス歴10年超。
報酬未払い、契約トラブル、ブラッククライアント案件…いろんな修羅場を経験してきました。
「あの時知ってさえいれば…」という後悔をバネに、フリーランスの人が同じ失敗をしないよう、自分の身を守る知識と、今日からできる対処法をお伝えしていきます。
※フリーランス実務資格「個人事業経営士CFQ」監修
※個人事業経営士(CFQ)は、当機構が認定する民間資格です。
※記事内の税制・社会保険の情報は2026年10月時点のものです。制度改正等により内容が変わる可能性があるため、申告の際は最新情報をご確認ください。



