
この記事は、フリーランス実務資格「個人事業経営士・CFQ」監修のもと作成しています。

こんにちは。フリーランスひかるです。
2割特例が終わったあと、簡易課税と本則課税のどちらを選べばいいのか。ここで手が止まる人はとても多いです。
結論から言うと、分かれ目は「経費(消費税のかかる経費)が多いか少ないか」です。外注費や仕入れが多い人は本則課税のほうが得になることがあります。一方、パソコンと通信費くらいしか経費がない人は、簡易課税のほうが有利になりやすいです。
この記事では、その判断の軸を整理します。
✅ この記事を読むとわかること
- 本則課税と簡易課税の計算の違いと、向いている人
- どっちが得かを分ける「経費率」という1本の基準
- 設備投資した年だけ答えが変わる理由と、2年縛りの注意点
本則課税と簡易課税、何が違う?
まず2つの計算方法を並べます。
本則課税は「売上の消費税 − 経費の消費税」で納税額を出します。実際に払った経費の消費税をそのまま差し引ける、いちばん素直な方法です。
簡易課税は、実際の経費を使いません。売上の消費税に、業種ごとの「みなし仕入率」をかけた分を、経費とみなして差し引きます。フリーランスに多いサービス業(第5種)のみなし仕入率は50%です。
| 本則課税 | 簡易課税 | |
|---|---|---|
| 計算 | 売上の消費税 − 経費の消費税 | 売上の消費税 − みなし仕入率分 |
| 届出 | 不要(何もしなければこちら) | 事前の届出が必要 |
| 還付 | 受けられる場合がある | 受けられない |
| しばり | なし | 最低2年は変更できない |
| 帳簿 | 経費の請求書(インボイス)保存が必要 | 売上の管理だけでよい |
ざっくり言うと、本則課税は手間がかかるぶん実額で正確、簡易課税はラクなぶんみなしで割り切り。そんな関係です。
どっちが得かは「経費率」で決まる
ここが核心です。判断の軸は、たった1つ。
自分の「経費の消費税」が、簡易課税のみなし分より多いか少ないか。これだけです。
具体例で見てみます。売上800万円(税抜)、売上の消費税80万円のサービス業(第5種)で考えます。
| 経費の消費税 | 本則課税の納税額 | 簡易課税の納税額 | 得なのは |
|---|---|---|---|
| 10万円(経費が少ない) | 約70万円 | 40万円 | 簡易課税 |
| 40万円(経費が中くらい) | 40万円 | 40万円 | どちらも同じ |
| 60万円(経費が多い) | 約20万円 | 40万円 | 本則課税 |
簡易課税のみなし分は「80万円 × 50% = 40万円」で固定です。だから経費の消費税が40万円を超えると、本則課税のほうが得になります。
この例は売上800万円のケースです。自分の売上だと負担がどう変わるかは、年収別のシミュレーションで確認できます。
つまり、課税仕入れが売上の50%(みなし仕入率と同じ水準)を超えるかどうかが分かれ目です。外注に多く出す人や、仕入れの大きい人は、本則課税を一度試算する価値があります。
以下のかんたんシミュレーターで計算してみましょう!
本則課税・簡易課税・3割特例 かんたん比較
年商と「消費税のかかる経費の割合」を選ぶと、3つの納め方でおおよその納税額がどう変わるかを比べられます。サービス業(第5種)の個人事業主を初期設定にしています。
外注費・仕入れ・備品など、消費税のかかる経費が売上に占めるおおよその割合です。家賃や保険など消費税のかからない支出は含めません。
業種を変える・計算の前提を見る
この試算は標準税率10%だけで計算したおおよその目安です。軽減税率8%の売上がある場合や、端数処理によって実際の金額は変わります。
本則課税は「売上の消費税 − 経費の消費税」で計算しており、ここでは経費の消費税を「売上の消費税 × 経費の割合」として概算しています。
3割特例は個人事業主のみ、2027年分・2028年分の2年間の措置です。2029年分以降は本則課税か簡易課税から選ぶことになります(2026年分までは2割特例で売上の消費税の20%でした)。
簡易課税は基準期間の課税売上高5,000万円以下が条件で、事前の届出と最低2年間の継続が必要です。
正確な金額と最適な方式は、国税庁のページで確認するか、税理士にご相談ください。
そしてもう1つ。本則課税には、簡易課税にない強みがあります。大きな設備投資をした年は、経費の消費税が売上の消費税を上回って、納めすぎた分が戻ってくる「還付」が受けられることがあります。簡易課税では、これは起きません。
ただし、個人事業主には2027年分・2028年分のあいだ「3割特例(売上の消費税の30%)」があります。サービス業なら、この2年は3割特例がいちばん軽くなるケースが多いです。本則課税が主役になるのは、経費がとても多い人か、3割特例が終わる2029年分以降。そう考えておくと整理しやすいです。
3割特例や簡易課税を選ぶときの届出のしかたと期限は、2割特例終了後の届出の記事で詳しくまとめています。
簡易課税にしておけば安心、と思っていた私の話
正直に言うと、私は長いあいだ「経費なんてたいして無いし、簡易課税にしておけば間違いない」と思い込んでいました。
ところがある年、思いきって機材をまとめて買い替えたことがありました。あとから計算してみて、はっとしたんです。あの年だけは本則課税にしておけば、消費税が戻ってきていたかもしれない。簡易課税の2年しばりの中だったので、選び直すこともできませんでした。
損したというより、選択肢を知らずに通り過ぎていた。その感覚のほうが、あとからじわじわ効いてきました。
CFQ(個人事業経営士)の勉強をして実感したのですが、税金で損をするのは能力の問題ではありません。制度を知っていたかどうか。ただそれだけで、数十万円が変わってしまう世界です。
今日からできる、選び方の3ステップ
難しく考えなくて大丈夫です。順番にいきましょう。
ステップ1 自分の課税経費率を出す
1年間の「消費税がかかる経費(外注費・仕入れ・備品など)」を、売上で割ってみます。これがざっくりの経費率です。家賃や保険など消費税のかからない支出は、ここには入れません。
ステップ2 みなし仕入率と比べる
自分の業種のみなし仕入率(サービス業なら50%)と、ステップ1の経費率を比べます。経費率のほうが高ければ本則課税、低ければ簡易課税が得になりやすい、という見当がつきます。
ステップ3 来年の設備投資としばりを確認する
来年あたりに大きな買い物の予定があるなら、その年は本則課税が有利になることがあります。簡易課税は一度選ぶと2年は戻せないので、投資の予定とあわせて考えておきましょう。
税金の知識は、一度整理してしまえば毎年使えます。フリーランスとして長く働くほど、この差は積み上がっていきます。
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簡易課税と本則課税に関するよくある疑問 
(個人事業経営士CFQ 監修)
Q1. 簡易課税を選んだあと、本則課税に戻せますか?
A:戻せますが、すぐにはできません。簡易課税は最低2年間の継続が必要です。やめるときは「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を、やめたい課税期間が始まる前までに提出します。設備投資の予定がある場合は、このしばりを先に確認しておくと安心です。
Q2. 本則課税のほうが手間はかかりますか?
A:はい、手間は増えます。本則課税では、経費の消費税を差し引くために、取引ごとのインボイス(適格請求書)の保存と帳簿づけが必要です。簡易課税なら売上の管理だけで計算できます。手間と節税額のバランスで選ぶのがおすすめです。
このように、正しい知識があるだけでトラブルは避けられます!
まとめ|
本則課税と簡易課税の選び方を、最後にまとめます。
分かれ目は「経費の消費税が、簡易課税のみなし分より多いか少ないか」。サービス業なら経費率50%が目安です。経費が多い人や、設備投資する年は本則課税。経費が少ない人は簡易課税が有利になりやすいです。
そして個人事業主は、2027年分・2028年分は3割特例という強い選択肢があることも忘れずに。
迷ったときは、消費税の納め方マップを読んでみてください。
一緒に整理しましょう。
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この記事の監修者
フリーランスひかる
大手IT企業に勤務後独立。フリーランス歴15年超。
報酬未払い、契約トラブル、ブラッククライアント案件…いろんな修羅場を経験してきました。
「あの時知ってさえいれば…」という後悔をバネに、フリーランスの人が同じ失敗をしないよう、自分の身を守る知識と、今日からできる対処法をお伝えしていきます。
※フリーランス実務資格「個人事業経営士CFQ」監修



