
この記事は、フリーランス実務資格「個人事業経営士・CFQ」監修のもと作成しています。
こんにちは。フリーランスひかるです。
2026年10月に「カスハラ対策義務化」が始まるというニュース、見た瞬間に「お、これで自分も守られるのかな」と思いませんでしたか。私も最初はそう思っていました。
でも調べていくうちに、思っていたのと全然違う現実にぶつかることになります。
正直、これは驚きました。
フリーランスは客商売をしていなくても、クライアントからの理不尽な要求に苦しむことがあります。
そして今回の法改正は、そのクライアントハラスメントを直接どうにかしてくれるものではありませんでした。
でも実は、この勘違いに気づいたことが、今後のあなたの身を守るヒントになります。
ピンチはチャンスというやつです。
この記事では、2026年10月のカスハラ対策義務化がフリーランスにどう関係するのか、そして本当に頼るべき法律は何なのかを、私の失敗も交えて整理していきます。
✅ この記事を読むとわかること
- 2026年10月のカスハラ対策義務化が、なぜフリーランスを直接守らないのか
- クライアントハラスメントを実際に守っているフリーランス新法14条の中身
- 理不尽なクライアントに遭遇したときに、今日からできる3つの行動
カスハラ対策義務化2026年10月、フリーランスは対象外という結論
結論から言うと、2026年10月1日に施行される改正労働施策総合推進法によるカスハラ対策義務化は、フリーランスを直接守るための法律ではありません。
守られるのは、企業に雇用されている労働者です。
顧客や取引先からの著しい迷惑行為に対して、企業が相談体制の整備や研修などの措置を講じる義務を負う、というのが今回の法改正の中身です。
根拠は2025年6月11日に公布された法律で、詳しい内容は厚生労働省のページにまとまっています。
参照:厚生労働省「令和7年労働施策総合推進法等の一部改正について」
つまり「顧客等」からの迷惑行為を防ぐ仕組みではあっても、フリーランスが受け取る「クライアント(発注者)」からのハラスメントは、この法律の射程には入っていないんです。
なぜそう言い切れるのか、実は私自身、この線引きを知らずに何年もモヤモヤを抱えていた経験があります。
なぜこの勘違いが起きるのか、実は仕組みの問題です
ここで一度、構造をわかりやすく整理してみます。
| 誰を守る法律か | 誰の義務か | 施行時期 | |
|---|---|---|---|
| 改正労働施策総合推進法(カスハラ対策義務化) | 企業に雇用された労働者 | 事業主 | 2026年10月1日 |
| フリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス新法)第14条 | 業務委託を受けるフリーランス | 発注事業者 | 2024年11月1日(すでに施行済) |
見てわかる通り、この2つは似ているようで守る対象がまったく別です。
労働施策総合推進法は「雇用契約」を前提にした法律なので、業務委託契約で働くフリーランスはそもそも対象に入りません。
一方で、私たちフリーランスを守っているのはフリーランス新法の第14条です。
発注事業者に対して、ハラスメントによってフリーランスの就業環境を害することのないよう、相談体制の整備などの措置を講ずる義務が課されています。
これは2024年11月からすでに施行されている、いわば「もう存在している保護」です。
ニュースの見出しは「カスハラ対策義務化」というひとくくりで報じられがちなので、労働者向けなのかフリーランス向けなのか、読んだだけでは区別がつきません。これは知識がないからではなく、単純に情報が構造化されていないだけの問題です。
なぜクライアントハラスメントの経験が武器になるのか
正直に書きます。
私はフリーランスになってから、クライアントからの理不尽な要求に何度も付き合ってきました。
「業務委託だから労働基準法は関係ない」と言われ、夜22時を過ぎてから翌朝までに資料一式の修正を求められたこともあります。
こういう経験をすると、「自分の対応力が足りないんだ」「もっと下手に出れば良かったんだ」と、自分の性格や能力の問題として片付けてしまいがちです。
でも、これは人格の問題でも、実力不足の問題でもありません。
単純に「クライアントからのハラスメントを止める権利がある」という知識を持っていなかっただけです。
フリーランス新法第14条を知っていれば、発注事業者には相談窓口を整備する義務があることも、相談したことを理由に契約を打ち切ってはいけないというルールがあることも、最初からわかっていたはずです。
感情的な部分は次の章に譲るとして、ここで押さえておきたいのは「知識不足という構造的な問題」だったという一点です。
その夜、Slackの通知は鳴りやまなかった

23時14分。スマホの画面には、Slackの未読が「12」と表示されていた。
案件は納品済みだったはずだ。契約書には「納品後の修正対応は1回まで、追加は別途見積もり」と書いてある。でも画面には、担当者からの短いメッセージが並んでいた。
「明日の朝一で全部直して送れますか」 「他のフリーランスさんはもっと融通きくって聞いたので」 「業務委託だから就業時間とか関係ないですよね」
返信を打ちかけて、消した。
もう一度打ちかけて、また消した。
翌週、たまたま参加した個人事業主向けの勉強会で、隣に座っていた人がぽつりと言った。
「それ、発注側に相談窓口整備の義務があるやつじゃないですか。フリーランス新法の」
聞いたことのある単語だった。
でも、自分の契約書のどこにも、そんな条文は入っていなかった。
パソコンの画面には、当時のSlackのスクリーンショットがまだ残っている。
「明日の朝一で全部直して送れますか」という一文だけが、やけにくっきり見えた。
今日からできる3つのこと
構造がわかったところで、実際に何をすればいいのか。ハードルの低い順に並べます。
- 自分の立ち位置を整理する
あなたは労働施策総合推進法の対象になる「労働者」ではなく、フリーランス新法の対象になる「特定受託事業者」です。
この違いを知っているだけで、相談先を間違えなくなります。 - 契約書にハラスメント対応の条項があるか確認する
なければ、次の契約更新のタイミングで「相談窓口の有無」を発注元に確認してみてください。
フリーランス新法第14条が根拠になります。 - 何かあったら記録して、外部窓口を使う。 LINEやSlackのスクリーンショット、通話の録音は有力な証拠になります。
社内窓口が使いにくい場合は、厚生労働省委託事業の「フリーランス・トラブル110番」が無料で相談を受け付けています。
社内に窓口がある発注元と取引している場合は、その窓口を先に使うのが基本です。
それでも動きが鈍い場合の逃げ道として、外部窓口を覚えておくと安心です。
このあたりの契約書チェックの視点は、以前まとめたフリーランス保護法を知らないと損する6つのことや、取引先の「当たり前でしょ?」は危険信号でも詳しく書いているので、あわせて読んでみてください。
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カスハラとフリーランスに関するよくある疑問 
(個人事業経営士CFQ 監修)
Q1. 東京都カスタマー・ハラスメント防止条例は、フリーランスにも適用されますか。
A:適用される可能性があります。この条例における「就業者」の定義は幅広く、都内で事業を行うフリーランスや個人事業主も対象に含まれ得るとされています。ただし全国一律の制度ではなく、都道府県ごとの条例なので、自分の取引先や業務エリアに関係する条例があるか確認しておくと安心です。
Q2. クライアントハラスメントを相談窓口に相談したら、契約を切られませんか。
A:フリーランス新法では、相談したことを理由に不利益な取扱いをすることが禁止されています。契約解除や報酬減額などの報復行為があった場合、それ自体が新法違反にあたる可能性があります。とはいえ実務上は、業務品質の低下など「別の理由」を盾にされるケースもあるため、日頃からのやり取りの記録が身を守る材料になります。
このように、正しい知識があるだけでトラブルは避けられます!
まとめ|カスハラ対策はフリーランスを守ってくれない
カスハラ対策義務化2026年10月は、フリーランスを直接守る制度ではありません。
でも、フリーランスには2024年11月からすでに施行されているフリーランス新法第14条という、クライアントハラスメントに対抗できる根拠があります。
「客商売じゃないから関係ない」ではなく、「自分は特定受託事業者として、すでに法律で守られている」と知っているかどうかが、次に理不尽な要求を受けたときの分かれ道になります。
もし今、契約書や取引先とのやり取りにモヤモヤを抱えているなら、一度この記事に戻ってきてください。
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この記事の監修者
フリーランスひかる
大手IT企業に勤務後独立。フリーランス歴15年超。
報酬未払い、契約トラブル、ブラッククライアント案件…いろんな修羅場を経験してきました。
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※フリーランス実務資格「個人事業経営士CFQ」監修



