
この記事は、フリーランス実務資格「個人事業経営士・CFQ」監修のもと作成しています。

こんにちは。フリーランスひかるです。
「納品したのに、なんで返金しないといけないの?」
著作権トラブルに初めて直面したとき、正直そう思いました。仕事は終わっている。クライアントも使っていた。なのに「著作権の問題がある」と言われた瞬間、足元がすっと消えるような感覚があった。
契約書に著作権の記載がない場合はどうなるのか。著作権を知らずに制作してしまったとき、返金を求められたら従わないといけないのか。そういった疑問を、当時のひかるは持っていませんでした。ただ「バナーを作って納品する」、それだけだと思っていたので。
でも、そのミスがあったからこそ、今のひかるは権利まわりで損をしていません。知らなかったことが、一番大きな学びになった。あなたが今この記事を読んでいるなら、同じ損をしなくて済む可能性があります。
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✅ この記事を読むとわかること
- 著作権は「納品=譲渡」ではないこと、そして契約書なしだとどうなるか
- フリーランスが著作権トラブルで全額返金に追い込まれる「本当の理由」
- 今日から無料でできる、著作権トラブルを防ぐ3ステップ
納品したのに返金?まずやるべき3つの確認とは
「著作権の問題があるから返金してほしい」と言われたとき、何を確認すればいいのか。まず焦って返金する前に、この3点を見てください。
確認1. 契約書(または発注メール)に著作権の記載があるか
契約書に「著作権は発注者に帰属する」「受注者は著作権を譲渡する」といった文言があるかどうか。記載がなければ、著作権は制作者であるあなたに残っています。
確認2. 使用されていたフォント・素材に問題があるかどうか
「著作権の問題がある」という主張の中には、「フォントのライセンス違反」「素材の商用利用不可」といったケースが含まれます。問題の対象が「誰の著作権」なのかを相手に具体的に確認してください。
確認3. 第三者から著作権侵害の指摘があったのか、クライアント独自の主張なのか
第三者(実際の権利者)から正式な申告があった場合と、クライアントが独自に「これは著作権違反だ」と主張している場合では、対応がまったく異なります。
この3点を確認するだけで、「本当に返金しなければならないのか」の判断精度が上がります。それでも「なぜそもそもこんなトラブルが起きるのか」という根本がわからないと、次も同じことを繰り返す。ここが本当に大事なところです。
著作権トラブルが起きる本当の理由──「お金を払えば権利も移る」は間違い
日本の著作権法には、こういうルールがあります。
著作権は、創作した瞬間に自動で発生し、制作者(著作者)に帰属する。
つまり、バナーを作った瞬間に著作権はあなたのもの。クライアントがお金を払ったとしても、それは「制作の対価」であって、著作権の対価ではありません。
「お金を払ったんだから、うちのものでしょ」という発想は、法律的には間違いです。
著作権と著作者人格権──まず2つの権利を整理する
著作権まわりには、大きく2種類の権利があります。
| 権利の種類 | 内容 | 譲渡できる? |
|---|---|---|
| 著作権(財産権) | 複製・配布・公開などを独占できる権利 | できる(契約で明示が必要) |
| 著作者人格権 | 改変・公表・氏名表示に関する権利 | できない(本人に一生帰属) |
著作権は契約で渡すことができますが、著作者人格権は「行使しない」と約束することはできても、渡すことは法律上できません。
「納品=著作権譲渡」ではない
ここが最大の落とし穴です。
納品しても、契約書に「著作権を譲渡する」という明示がなければ、著作権は制作者に残ったままです。クライアントは成果物を使う許可(利用許諾)をもらっているだけで、著作権者ではない。
逆に言うと、クライアント側は「著作権がないから、第三者への再利用や改変ができない」という問題に直面することもあります。このあいまいさが、後から「著作権を主張してきた」というトラブルの温床になります。
制作者側が陥りやすいもう一つの罠──素材の著作権
自分が作ったバナーの著作権が自分にある場合でも、そのバナーの中に使用している素材(フォント・写真・イラスト)の著作権は、別の話です。
- 商用利用不可のフリー素材を使った
- 有料フォントのライセンスが個人契約で法人への納品に対応していなかった
- 素材の改変が禁止されているのに、トリミングして使ってしまった
これらは「自分の著作物の問題」ではなく「他人の著作物を侵害した問題」になります。ここも見落としやすい。
なぜトラブルになるのか、構造的に理解できたと思います。ではここから、ひかる自身の体験を正直に話します。
著作権を知らずに2万円のバナーで30万円のトラブルを引き起こした話
フリーランス3年目のころ、ひかるは小規模なECサイト向けにバナー広告を何本か制作する仕事を受けました。デザイナーではなかったけれど、Canvaと有料の画像素材サービスを組み合わせれば「それっぽいもの」は作れていた時期です。
報酬は1本あたり2,000円。10本で2万円。ちょっとした副収入のつもりでした。
納品して3週間後、クライアントから連絡が来ました。「使っていた画像素材について、別の制作会社から著作権侵害の指摘を受けた。あなたが制作したバナーに問題がある」という内容でした。
当時の契約には、著作権についての記載は一切ありませんでした。発注メールのやりとりだけで進めていた案件です。ひかるはあわてて使った素材を確認しました。Canvaの有料プランで使えるものだと思っていた画像が、特定の商業印刷物への使用が制限されているライセンスだったのです。
Webバナーとして使っていたひかるには「商業目的の使用」に抵触していた可能性があった。明確に違反かどうかはグレーゾーンでしたが、クライアントはすでに取引先にも謝罪対応を始めていて、その損害対応として「制作費の全額返金と、追加の損害分」を求めてきました。
結局、ひかるは制作費2万円を全額返金しました。追加損害については最終的に請求されませんでしたが、もし正式に請求されていたら30万円を超えていた可能性がある、という数字はクライアントから提示されていました。
この件で気づいたのは、ひかるが「悪意を持ってやった」わけではないという点です。むしろ「ちゃんとした有料ツールを使っていた」という認識があったので、問題があるとは思っていなかった。
つまり、スキルの問題でも人格の問題でもありませんでした。ただの知識不足です。著作権という概念と、素材のライセンスという概念が「別の話」だと知らなかっただけ。
デザイナーでなくても、バナーや画像を使った制作物を納品する機会は増えています。ライターでもマーケターでも、Canvaや生成AIで「軽く画像を作って納品する」ことがある時代です。「デザイナーじゃないから関係ない」は、もう通らない。
今日からできること──著作権トラブルを防ぐ3ステップ
ここからは具体的な行動です。難しいことはないので、順番にやってみてください。
ステップ1. 使っている素材のライセンスを今すぐ確認する
Canva、Adobe Stock、Shutterstock、PIXTAなど、使っているサービスの「商用利用ライセンス」のページを開いてください。特に確認すべき点は以下の3点です。
- 商用利用(報酬をもらう仕事での使用)がOKか
- 納品先が法人の場合でも使えるか
- 改変(トリミング・合成)が許可されているか
参考:Canvaの利用規約(ライセンス詳細) https://www.canva.com/policies/content-license-agreement/
ステップ2. 業務委託契約書に著作権の帰属を必ず明記する
新しい案件を受けるときは、契約書に以下の文言を盛り込むか、クライアントに確認してください。
【著作権に関する記載例】
本件成果物に関する著作権(著作権法第27条および第28条の権利を含む)は、
報酬の支払い完了をもって、受注者から発注者に譲渡されるものとします。契約書の作成が難しい場合は、文化庁の「契約書作成支援システム」や、フリーランス協会の「契約書メーカー」が無料で使えます。
- 文化庁 契約書作成支援システム:https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/keiyakusho/
- フリーランス協会 契約書メーカー:https://www.freelance-jp.org/
ステップ3. 困ったらまず「フリーランス・トラブル110番」に相談する
著作権トラブルで返金を求められたとき、すぐに応じる前に専門家に相談することを強くおすすめします。弁護士に無料で相談できる窓口があります。
- フリーランス・トラブル110番(厚生労働省運営):https://freelance110.jp/ ※電話・メール対応、初回無料
まとめると、「素材のライセンス確認」「契約書の著作権明記」「困ったら110番」の3ステップです。どれか1つでも欠けると、ひかるのような経験をすることになります。
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現場でよく出る著作権に関するよくある疑問 
(個人事業経営士CFQ 監修)
Q1. 著作権侵害で返金を求められたら、必ず払わないといけないの?
A:必ずしも応じる必要はありません。「著作権侵害かどうか」は、実際には判断が難しいケースも多く、クライアントが独自に「問題がある」と主張しているだけの場合もあります。返金を求められたら、まず具体的に「誰の、どの著作権が、どのように侵害されたのか」を確認してください。それが明示できない場合は、法的な根拠が弱いことがあります。フリーランス・トラブル110番(https://freelance110.jp/)に相談し、専門家の判断を仰いでから動くのが最善です。
Q2. メールでのやりとりだけでも著作権の合意は有効?
A:有効になる場合があります。メールの文中に「著作権は発注者に譲渡する」という文言があれば、書面と同様の効力を持つと解釈されることがあります。ただし、文言があいまいだったり、やりとりが複数のメッセージに分散していたりすると、後から解釈が割れるリスクがあります。口約束よりはメールのほうがマシですが、最善は契約書への明示。フリーランス保護新法(2024年11月施行)では、発注者に対して取引条件を書面で明示する義務が課されているので、法的な背景も変わってきています。
このように、正しい知識があるだけでトラブルは避けられます!
まとめ|著作権を知らずに納品して報酬を全額失った、あの経験が今につながっている
「著作権を知らずに納品して報酬を全額失う」という経験を、ひかるはフリーランス3年目でしました。
デザイナーでもないのに、バナーを作って納品して、素材のライセンスを確認せずに進めた結果、全額返金という結末になった。悔しかったし、自分がひどく詰めが甘いと思った。でも今になって思うのは、「誰も教えてくれなかっただけ」という事実です。
著作権がどこに帰属するか。使っている素材のライセンス範囲はどこまでか。契約書に何を書けばいいか。こういった知識は、学校では習わないし、フリーランスになった瞬間に誰かが教えてくれるわけでもありません。
契約書なしで著作権の帰属があいまいなまま納品する。バナー制作で素材ライセンスを確認しない。個人事業主としてこういったことが重なると、気づかないうちにリスクを積み上げていきます。ひかると同じ失敗をしてほしくない、という気持ちでこの記事を書きました。
迷ったとき、またこのページに戻ってきてください。
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この記事の監修者
フリーランスひかる
大手IT企業に勤務後独立。フリーランス歴15年超。
報酬未払い、契約トラブル、ブラッククライアント案件…いろんな修羅場を経験してきました。
「あの時知ってさえいれば…」という後悔をバネに、フリーランスの人が同じ失敗をしないよう、自分の身を守る知識と、今日からできる対処法をお伝えしていきます。
※フリーランス実務資格「個人事業経営士CFQ」監修



