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【発注側が知らないと罰金】フリーランス新法で変わった5つのNG行為と、今すぐ直すべき契約書の穴

  

こんにちは。フリーランスひかるです。

「フリーランス新法って、うちには関係ないよね?」

そう思っていた企業の担当者が、施行からわずか11ヶ月で445件の指導・勧告を受けた——そんなニュースを聞いて、少しヒヤッとした方も多いんじゃないでしょうか。

フリーランスとして10年以上仕事をしてきた私は、多くの企業担当者と取引してきました。その中でとくに印象に残っているのが、数年前に一緒に仕事をした、あるIT系企業の発注担当者・Kさんの話です。

「ひかるさん、実はうちのフリーランスへの発注、全部メールと口頭でやってて……これってまずかったですかね」

その一言で始まった会話が、今回この記事を書くきっかけになりました。

フリーランス新法(正式名称:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)は、2024年11月1日に施行された、まだ新しい法律です。でも「知らなかった」は通用しない。違反すれば勧告・企業名公表・最大50万円の罰金というリスクが現実にあります。

「うちは大丈夫なはず」——その思い込みが、一番危ない。

この記事では、発注側の企業担当者が「やってしまいがちな5つのNG行為」と「今すぐ見直すべき契約書の穴」を、フリーランス歴10年以上の私が受注側の視点からわかりやすく解説します。

この記事を読むとわかること

  • フリーランス新法で発注側が義務を負う具体的な5つのNG行為
  • 既存の業務委託契約書がフリーランス新法に対応しているか確認するポイント
  • 中小企業の担当者が今日から無料でできる3つの実務対応

まず今すぐやるべき3つの確認——フリーランス新法は「うちは対象外」が一番危ない

そもそもフリーランス新法とは?

フリーランス新法とは、個人で働くフリーランス(個人事業主)に業務委託をする発注者に対して、取引条件の明示・報酬支払・ハラスメント対策などの義務を定めた法律です。

正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」。2024年11月1日に施行され、執行は公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省の3省庁が担っています。

「フリーランス保護法」と呼ばれることもありますが、重要なのは「保護されるのはフリーランス側、義務を負うのは発注者側」という点。つまりこれは、発注する企業にとっての新しいルールブックです。

自社は対象になる? まず3つを確認

フリーランス新法が適用されるかどうかは、発注側・受注側それぞれの「従業員の有無」で決まります。

確認項目内容
① 発注側(自社)に従業員がいるか週20時間以上・31日以上の雇用見込みの労働者が1人でもいれば該当
② 受注側(フリーランス)が個人事業主か一人社長か従業員を使用しない個人 or 代表のみの法人なら該当
③ 業務内容が「物品製造・データ作成・役務提供の委託」かほぼすべての業務委託が該当すると考えてよい

正直、従業員が1人でもいる会社がフリーランスに発注していれば、ほぼ100%対象です。「うちは中小だから」「副業の人だから」は関係ない。これが最初の落とし穴。

違反した場合のリスクをざっくり整理

違反の段階内容
指導・助言まずここから。行政が直接動く
勧告公式な是正命令。これが出ると企業名公表の可能性
命令違反50万円以下の罰金(刑事罰)

施行からわずか11ヶ月で445件の指導・勧告が出ている現実は、この法律が「建前だけ」ではないことを示しています(出典:Legal GPT「フリーランス新法(2026年対応)完全ガイド」https://legal-gpt.com/freelance-protection-law-2024-guide/)。

では、なぜこれほど多くの企業が引っかかるのか。次に「5つのNG行為」を見ていきます。


発注者が知らずにやってしまう5つのNG行為——違反しやすいミスの本当の理由

NG① 口頭・メールだけで発注している

フリーランス新法では、業務委託をした際に「書面または電磁的方法(PDF・メール等)」で以下の9項目を「直ちに」明示することが義務付けられています。

明示が必要な9項目

項目内容例
① 業務内容「Webサイトのバナー制作」など具体的に
② 報酬の額税込・税抜どちらも明記
③ 支払期日「給付受領日から60日以内」が原則
④ 発注者・受注者の名称会社名・氏名等
⑤ 業務委託をした日契約成立日
⑥ 給付を受領する日納品・検収日
⑦ 給付を受領する場所オンライン納品の場合もその旨を明記
⑧ 検査完了日(検査がある場合)検査を行う場合のみ
⑨ 報酬の支払方法(金銭以外の場合)現物支給等の場合のみ

「メールに概要は書いたし大丈夫」——残念ながら、9項目がすべて揃っていなければアウトです。口頭発注はもちろん論外。

NG② 支払いサイトが60日を超えている

「月末締め翌々月末払い」——これ、よくある支払い条件ですが、場合によって違法になります。

フリーランス新法では、「給付を受領した日(納品日・検収日)から60日以内のできる限り短い期間内」に報酬支払期日を設定することが義務です。

たとえば1月31日に納品を受領した場合、支払期日は3月31日まで。しかし「月末締め翌々月末払い」の運用では、1月31日納品 → 2月末締め → 4月末払いとなってしまい、60日オーバーになるケースが発生します。

既存の支払い規定を変えるのは社内調整が必要ですが、フリーランスへの発注分だけでも個別対応を検討する必要があります。

NG③ 一方的な報酬の減額・受領拒否

フリーランス新法では、1ヶ月以上の業務委託において以下の行為が「禁止行為」として明確に定められています。

7つの禁止行為

  • 受領拒否(正当な理由なく納品物を受け取らない)
  • 報酬の減額(合意なく金額を下げる)
  • 返品(正当な理由なく成果物を返す)
  • 買いたたき(通常の報酬より著しく低い額での発注)
  • 購入・利用強制(自社製品・サービスの購入を強要)
  • 不当な経済上の利益の提供要請
  • 不当な給付内容の変更・やり直し

「仕様が変わったから減額してほしい」「思ったのと違ったから作り直してもらおう」——担当者としては普通のやりとりのつもりでも、フリーランス新法の観点では禁止行為に該当するリスクがあります。

NG④ フリーランスへのハラスメント対策を整備していない

あまり知られていないのがこの点。フリーランス新法では、発注側の企業に対してフリーランスへのハラスメント対策(相談窓口の整備等)も義務付けられています。

従業員向けのハラスメント対策はやっていても、外部のフリーランスまでカバーできていないケースがほとんど。「外注さんだから関係ない」は通用しません。

NG⑤ 中途解除の予告が30日前になっていない

6ヶ月以上の継続的な業務委託について、途中解除する場合は「30日前の予告」が義務です。

突然の契約打ち切りはフリーランスにとって死活問題。法律がそのリスクを規制するようになりました。理由の開示請求があった場合は、理由を開示する義務もあります。


「契約書を見直すつもりはあった」——あるIT企業担当者の話

これは、私が数年前に継続的に取引していた企業の担当者・Kさんから聞いた話です。

Kさんの会社はWEB制作を複数のフリーランスに外注していて、発注はほぼSlackのDMと口頭でこなしていました。契約書は一応あるけど、ひな形を使い回しているだけ。支払いは月末締め翌々月末払い。

「実は前から気になってたんですよ。でも担当者が自分一人で、法務部もないし、今の契約で問題が起きたことはないし……」

フリーランス新法の施行後、Kさんの会社は取引先のフリーランスから「新法に対応した発注書を出してほしい」と申し出を受けたそうです。そこで初めて、自分たちの発注フローが9項目の明示義務をまったく満たしていないことに気づいた。

対応のために確認した書類は山積み。社内調整だけで2ヶ月かかりました。

「早めにやっておけばよかった。法律が変わった時じゃなくて、最初から整えておけば、こんな大変にならなかった」

意外と、こういう話は多いんです。問題が起きてから気づく。

知識不足は人格の問題じゃない。でも、知識があれば防げたリスクが確実にある。Kさんの話は、私にとってもそれを改めて実感した出来事でした。


今日から無料でできる3ステップ対応——中小企業担当者でも一人でできる

STEP 1 まず自社の「適用対象か」を確認する

公正取引委員会のフリーランス法特設サイト(https://www.jftc.go.jp/freelancelaw_2024/)では、チェックボックス形式で「自社が違反していないか」を確認できます。

10分もあれば終わります。まず自分がどの義務を負うのかを把握するのが先決です。

STEP 2 既存の発注書・契約書に「9項目」が含まれているか確認する

今使っている発注書や業務委託契約書を開いて、前述した9項目が全部入っているか確認してください。

とくに抜けやすいのは「業務委託をした日」「検査完了日」「給付を受領する場所」の3つ。テンプレートを使い回しているだけだと、これらが抜けていることが多いです。

対応した発注書の無料テンプレートは、マネーフォワードクラウド契約のサイト(https://biz.moneyforward.com/contract/basic/16213/)でも公開されています。参考にしてみてください。

STEP 3 支払いサイトと解除予告のルールを社内で共有する

60日ルールと30日前予告は、経理・総務・現場担当者が全員把握していないと意味がありません。

A4一枚の社内メモでいい。「フリーランスへの支払いは納品日から60日以内」「継続契約の解除は30日前に予告」——この2行を共有するだけでも、違反リスクは大幅に下がります。


まとめると、今日やることはシンプルです。

  1. 公正取引委員会のサイトで適用チェック
  2. 既存の発注書・契約書の9項目確認
  3. 60日ルール・30日予告を社内共有

難しいことは何もない。問題は「知っていたかどうか」だけです。

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  • 「テンプレを使える」から、「なぜその処理になるのか自分で説明できる」状態へ
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発注側のNG行為に関するよくある疑問 

(個人事業経営士CFQ 監修)

Q1. 副業で手伝ってもらっている人も対象になりますか?

A:特定の会社に雇用されている副業中の人でも、あなたの会社との取引については「特定受託事業者」に該当する場合があります。つまり対象になる可能性が高い。雇用されているかどうかより、「フリーランスとしての取引かどうか」で判断されます。副業人材への発注でも、9項目の明示義務と60日ルールは守る必要があります。

Q2. Slackやチャットのやりとりはフリーランスへの「書面による明示」として認められますか?

A:認められます。フリーランス新法では「書面または電磁的方法」での明示が求められており、メール・PDFのほか、チャットツールでの送付も対象です。ただし、9項目が揃っていることが前提。「チャットで何か送ったから大丈夫」ではなく、必要事項が漏れなく記載されているかを確認してください。


このように、正しい知識があるだけでトラブルは避けられます!


まとめ|フリーランス新法の「発注側の義務」を知ることが、取引を守ることになる 

フリーランス新法で変わった発注側の義務を、改めて整理します。

  • 業務委託時に「9項目の書面明示」が必須
  • 支払期日は「給付受領日から60日以内」
  • 報酬の減額・受領拒否・買いたたきは禁止
  • ハラスメント対策の体制整備が必要
  • 6ヶ月以上の契約を途中解除する場合は「30日前予告」が義務

「忙しいから」「担当が自分一人だから」——その気持ちはよくわかります。私自身、フリーランスとして10年以上過ごしてきて、発注側・受注側の両方の視点を見てきました。

でも、知識がないことで損をするのは、あなたの会社だけじゃない。取引先のフリーランスも、信頼関係も、一緒に傷つきます。

迷ったら、またここに戻ってきてください。この記事が、あなたの発注実務を少し楽にするヒントになれば、それで十分です。

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この記事の監修者

フリーランスひかる
大手IT企業に勤務後独立。フリーランス歴15年超。
報酬未払い、契約トラブル、ブラッククライアント案件…いろんな修羅場を経験してきました。
「あの時知ってさえいれば…」という後悔をバネに、フリーランスの人が同じ失敗をしないよう、自分の身を守る知識と、今日からできる対処法をお伝えしていきます。
フリーランス実務資格「個人事業経営士CFQ」監修