
こんにちは。フリーランスひかるです。
あなたは今、クライアントからの入金を待ち続けているのではないでしょうか。納品から2週間が経過し、支払い期日も過ぎた。メールを送っても「確認します」の一言だけで進展がない。50万円という金額は、フリーランスにとって生活を左右する大きなお金です。私も同じ経験をしました。あの時の焦りと悔しさは、今でも鮮明に思い出せます。
「また催促するのも気まずいな」「もう少し待てば振り込まれるかも」そう思って先延ばしにしていませんか。でも、未払いは時間が経つほど回収が難しくなります。優しく催促したのに無視され、気づけば3ヶ月が経過。そんな状況から私は30日間で未払い金を回収した経験があります。
この記事では、私が実際に行った「優しい催促→内容証明→少額訴訟」という3ステップの回収術を、すぐに使えるテンプレートとともにお伝えします。
✅ この記事はこんな方におすすめ
- クライアントから未払いが発生していて、どう対応すればいいか悩んでいるフリーランス
- 催促メールを送ったのに無視されて困っている方
- 内容証明や少額訴訟という言葉は聞いたことがあるけど、具体的な手順が分からない方
- 法的手段を取る前に、できるだけ穏便に解決したいと思っている方
- 今後の未払いを防ぐための予防策も知りたい方
第1章:あの日、画面に表示された「未入金」の文字
納品から2週間後、私は銀行口座を何度も確認していました。50万円のWebサイト制作案件。3ヶ月かけて完成させ、クライアントも「素晴らしい仕上がりです」と喜んでくれていた。支払い期日は「納品後30日以内」と契約書に明記されていましたが、その日を過ぎても入金がありません。
最初は「経理の処理が遅れているだけだろう」と楽観的に考えていました。でも、3日経っても、1週間経っても振り込まれない。焦りが少しずつ募ります。50万円という金額は、私にとって1ヶ月分の生活費に相当する大金でした。
クライアントに電話をかけようとしましたが、手が震えます。「催促したら関係が悪くなるかもしれない」「もしかしたら明日振り込まれるかも」という考えが頭をよぎり、結局何もできませんでした。
その夜、ふと思い出したのは、以前のクライアントとの未払いトラブルです。あの時は「待てば大丈夫」と3ヶ月も放置した結果、相手企業が倒産してしまい、1円も回収できませんでした。30万円が完全に失われた苦い記憶。同じ失敗は繰り返したくない。
翌朝、私は決意しました。感情に流されず、冷静に、段階的に行動しようと。この決断が、後に50万円全額回収という結果につながります。
第2章:「待てば解決」という危険な思い込み
フリーランスの未払い問題は、決して珍しいことではありません。フリーランス協会が2023年に実施した調査によると、フリーランスの約37%が「過去に報酬未払いを経験したことがある」と回答しています。実に3人に1人以上が被害に遭っているのです。
参考:一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会「フリーランス白書2023」
さらに深刻なのは、未払い金額の大きさです。同調査では、未払い被害額の平均が約58万円に達しています。50万円という私のケースは、決して大げさな話ではないのです。
私が最も後悔しているのは、最初の2週間を無駄にしたことです。「相手も忙しいだろう」「こちらから言い出すのは失礼かも」という遠慮が、状況を悪化させました。実は、未払い問題には「回収の黄金期間」が存在します。支払い期日から1ヶ月以内であれば、比較的スムーズに回収できる可能性が高いのです。
しかし、2ヶ月、3ヶ月と経過すると、相手企業の資金繰りが悪化したり、担当者が退職したり、最悪の場合は倒産してしまうリスクが高まります。2024年の帝国データバンクの調査では、中小企業の倒産件数が前年比で増加傾向にあると報告されています。待っているだけでは、回収のチャンスを逃してしまうのです。
私の知人のデザイナーは、80万円の未払いを6ヶ月も放置した結果、クライアント企業が民事再生手続きに入ってしまい、わずか3万円しか回収できませんでした。彼女は「もっと早く動いていれば」と涙を流していました。
未払いを放置することは、単に入金が遅れるだけでは済みません。精神的ストレスが蓄積し、他の仕事にも集中できなくなります。私も当時、夜中に何度も目が覚め、銀行口座をスマホで確認する日々が続きました。売上が立っているのに現金がない。クレジットカードの支払いが迫っているのに、入金がない。この焦燥感は、経験した人にしか分からないでしょう。
「優しく待つ」ことが美徳とされる日本の文化が、フリーランスを苦しめています。でも、正当な報酬を受け取ることは、決して図々しいことではありません。あなたが提供した価値に対する対価なのですから。
第3章:30日で回収した3ステップ戦略
ここからは、私が実際に50万円を回収した具体的なプロセスをお伝えします。重要なのは「段階的に圧力を強めていく」という戦略です。いきなり強硬手段に出るのではなく、相手に「支払わなければならない」という意識を徐々に高めていきます。
ステップ1:優しい催促メール(1日目〜7日目)
まず最初は、あくまで「確認」というスタンスでメールを送ります。相手を責めるのではなく、「もしかしたら行き違いかもしれない」という前提で伝えることがポイントです。
【テンプレート1:初回催促メール】
件名:【ご確認】○月○日納品分のお支払いについて
株式会社○○
○○様
いつもお世話になっております。フリーランスの○○です。
先日納品いたしました「○○制作案件」につきまして、
契約書記載の支払い期日(○月○日)を過ぎておりましたので、
念のためご連絡させていただきました。
もし行き違いで既にお手続きいただいている場合は、
大変申し訳ございません。
お忙しいところ恐れ入りますが、ご確認いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。
-----
○○(あなたの名前)
メール:xxx@example.com
電話:090-xxxx-xxxxこのメールのポイントは「行き違いの可能性」を示唆することで、相手に言い訳の余地を与えている点です。相手も人間ですから、面子を潰さない配慮が重要です。
私の場合、このメールを送った翌日に「経理の処理が遅れておりまして、今週中にお振込みいたします」という返信がありました。しかし、1週間経っても入金はありませんでした。
ステップ2:期限を明示した催促メール(8日目〜14日目)
1週間待っても入金がない場合、次は「明確な期限」を設定します。ここで重要なのは、感情的にならず、あくまでビジネスライクに伝えることです。
【テンプレート2:期限設定メール】
件名:【再送】お支払い期日のご確認について
株式会社○○
○○様
お世話になっております。○○です。
○月○日にお送りしたメールについて、
改めてご連絡させていただきます。
現在、下記の報酬についてお支払いが確認できておりません。
・案件名:○○制作
・金額:500,000円(税込)
・当初の支払い期日:○月○日
・納品日:○月○日
つきましては、○月○日(金)までにお振込みいただけますよう
お願い申し上げます。
なお、何かご不明点やご事情がございましたら、
お気軽にご相談いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。
-----
○○(あなたの名前)
メール:xxx@example.com
電話:090-xxxx-xxxxこのメールでは、金額や納品日を明記することで「証拠」としての意味も持たせています。また、「ご事情があれば相談を」という一文を入れることで、相手が本当に資金繰りに困っている場合の分割払いなどの交渉余地も残しています。
私の場合、このメールに対して返信はありませんでした。設定した期限も過ぎ、いよいよ次の段階に進む決断をします。
ステップ3:内容証明郵便の送付(15日目〜21日目)
内容証明郵便とは、「いつ、誰が、誰に、どんな内容の文書を送ったか」を郵便局が証明してくれる制度です。法的拘束力はありませんが、「本気度」を示す効果は絶大です。
多くのクライアントは、内容証明が届いた時点で支払いに応じます。なぜなら、これが「最後通告」であり、次は法的手続きに入ることが明白だからです。
内容証明は、e内容証明というオンラインサービスを使えば、自宅から簡単に送れます。費用は1,000円〜2,000円程度です。
【テンプレート3:内容証明の文例】
催告書
令和○年○月○日
東京都○○区○○
株式会社○○
代表取締役 ○○ 様
神奈川県○○市○○
○○(あなたの住所・氏名)
貴社と私は、令和○年○月○日付で、Webサイト制作業務委託契約を締結いたしました。
私は契約に基づき、令和○年○月○日に成果物を納品し、
貴社からも検収の確認をいただいております。
契約書第○条により、報酬500,000円については
納品後30日以内のお支払いとなっておりましたが、
支払期日である令和○年○月○日を過ぎても、
未だお支払いいただけておりません。
つきましては、本書到達後7日以内である
令和○年○月○日までに、下記口座へお振込みくださいますよう
催告いたします。
【振込先】
銀行名:○○銀行
支店名:○○支店
口座種別:普通
口座番号:1234567
口座名義:○○
なお、上記期日までにお支払いいただけない場合は、
法的措置を講じることも検討せざるを得ませんので、
その旨申し添えます。
以上私はこの内容証明を送付してから5日後、クライアントの経理担当者から電話がありました。「大変申し訳ございません。すぐに処理いたします」という謝罪とともに、翌営業日には全額が振り込まれました。内容証明を送ってから実質6日目、最初の催促から数えて21日目での回収でした。
ステップ4(番外編):少額訴訟の準備(22日目〜30日目)
もし内容証明でも支払われなかった場合、最終手段として「少額訴訟」という制度があります。60万円以下の金銭トラブルを、原則1回の裁判で解決できる制度です。
少額訴訟のメリットは、弁護士なしでも手続きができ、費用も1万円程度で済むことです。裁判所のウェブサイトには、訴状の書き方から必要書類まで詳しく記載されています。
参考:裁判所「少額訴訟手続」
私の場合は内容証明で解決しましたが、万が一のために訴状の下書きまで準備していました。「いつでも訴訟できる」という準備があったからこそ、落ち着いて対応できたのだと思います。
第4章:「本当のメリット」は信頼関係の構築
この一連の経験を通じて、私は重要なことに気づきました。未払い回収は、単にお金を取り戻すだけではないということです。
まず、契約書の重要性を痛感しました。今回は契約書に支払い期日が明記されていたため、スムーズに回収できました。もし口約束だけだったら、ここまで確実に動けなかったでしょう。
契約書は「疑いの証」ではなく、「お互いを守る約束」です。きちんとした契約を結ぶことで、クライアントも安心して仕事を依頼できますし、私たちフリーランスも自信を持って業務に集中できます。
実は、この未払い騒動の後、私はクライアント向けの契約書テンプレートを作成しました。支払い条件、納品物の定義、修正回数の上限などを明記した、分かりやすい契約書です。この契約書を使い始めてから、トラブルは一度も起きていません。
また、「言いにくいことをきちんと言える関係」こそが、本当の信頼関係だと学びました。未払いを我慢して黙っているのは、相手を甘やかしているだけです。正当な主張を適切な方法で伝えることで、むしろクライアントからの信頼が高まりました。
フリーランスとして長く活動していくためには、「スマートに交渉できる力」が不可欠です。税務処理、契約交渉、トラブル対応。こうした実務知識を体系的に学べる資料として、「CFQ®︎(Certified Freelance Quality)公式参考書」があります。
CFQ®︎は、フリーランスに必要な実務知識を網羅的に学べる資格制度で、公式参考書には契約書の作り方から税務処理、トラブル対応まで実践的なノウハウが詰まっています。私自身、この参考書で学んだ知識が、今回の未払い回収に大いに役立ちました。
参考:CFQ®︎公式サイト
特に「契約とトラブル対応」の章は、未払い問題だけでなく、仕様変更や納期遅延など、フリーランスが直面しがちなトラブルへの対処法が具体的に書かれています。困ったときの辞書として、手元に置いておくと安心です。
明日からできる3つのアクション
未払い問題は、誰にでも起こりうることです。でも、正しい知識と手順があれば、必ず解決できます。まずは以下の3つから始めてみてください。
アクション1:今すぐ催促メールを送る
支払い期日を1日でも過ぎているなら、今すぐこの記事のテンプレートを使って催促メールを送りましょう。「明日やろう」と思っているうちに、回収は難しくなっていきます。メールを送るのに必要な時間は、たった5分です。
アクション2:契約書を見直す(または作る)
現在使っている契約書に、支払い期日や支払い方法が明記されているか確認してください。もし契約書がないなら、次の案件から必ず使い始めましょう。ネット上には無料のテンプレートもたくさんありますが、自分の業務内容に合わせてカスタマイズすることが重要です。
アクション3:回収記録をつける
催促メールを送った日付、相手からの返信内容、電話で話した内容などを記録に残しておきましょう。Googleスプレッドシートやエクセルで簡単な表を作るだけで十分です。もし法的手続きが必要になった際、この記録が証拠として役立ちます。
よくある疑問と誤解(Q&A)
Q1. フリーランスが未払いを催促する最適なタイミングはいつですか?
A:👉支払い期日を過ぎた翌営業日には、初回の催促メールを送ることをおすすめします。「1週間くらい待った方がいいかな」と思うかもしれませんが、早めの行動が回収率を高めます。ただし、初回は「確認」というスタンスで、相手を責めない柔らかいトーンで送りましょう。もし相手から「○日までに支払います」という具体的な回答があれば、その期日まで待つのは問題ありません。
Q2. 内容証明を送るとクライアントとの関係が悪化しませんか?
A:👉確かに内容証明は強いメッセージですが、そもそも支払いをしないクライアントとの関係を今後も続けたいでしょうか。正当な報酬を支払わない相手は、ビジネスパートナーとして適切ではありません。私の経験では、内容証明を送った後に支払いがあり、その後も良好な関係が続いているケースもあります。誠実なクライアントであれば、こちらの本気度を理解してくれるはずです。
Q3. フリーランスが少額訴訟を起こすのは難しいですか?
A:👉少額訴訟は、弁護士なしでも手続きできるように設計された制度です。裁判所のウェブサイトには詳しいマニュアルがあり、窓口で相談もできます。訴状の書き方も定型フォーマットがあるので、それに従って記入するだけです。費用も1万円程度で、60万円以下の請求であれば利用できます。ただし、訴訟は最終手段です。まずは催促メールや内容証明で解決を目指しましょう。
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今回お伝えした3ステップは、相手を過度に追い詰めることなく、段階的に圧力を強めていく方法です。優しい催促から始めて、内容証明、そして最終的には少額訴訟へと進む。このプロセスを知っているだけで、心に余裕が生まれます。
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