
はじめに
「確定申告って何から始めればいいの?」
当時フリーランス2年目の私は、去年この言葉を聞くだけで胃がキリキリしていました。
会社員時代は年末調整の書類を提出するだけで済んでいたのに、いきなり「自分で税務処理をしろ」なんて、まるで外国語を話せと言われているような気分でした。
でも今思えば、確定申告って実は「フリーランスが社会から認められる大切な儀式」なんです。
きちんと申告することで、クライアントからの信頼も格段に上がりますし、何より自分のビジネスを数字で把握できるようになります。
実際、私は確定申告をマスターしてから、クライアントとの契約書のやり取りも自信を持ってできるようになりましたし、経費の考え方が身についたことで手取り収入も実質的に増えました。
この記事では、私が実際に体験した「確定申告の壁」と、それをどう乗り越えたかを、具体的なエピソードとともにお伝えします。
この記事はこんな方におすすめ
- 初めての確定申告で何から手をつけていいか分からない方
- 経費や青色申告について正しく理解したい方
- 確定申告を通じてクライアントからの信頼を高めたい方
- 税務処理を効率化して、本業に集中したい方
フリーランスが確定申告で必ずつまずく「4つの壁」
私が初年度に直面したリアルな困惑
去年の2月、確定申告の期限まであと1ヶ月というタイミングで、私は机の前で途方に暮れていました。
手元には1年分のレシートの山と、何が経費になるのか全く分からない状況。
「これ、本当に自分でできるの?」と不安で眠れない夜が続きました。
でも実際にやってみると、フリーランスが確定申告でつまずくポイントって、だいたい決まっているんです。
私が経験した「4つの壁」を順番に見ていきましょう。
壁その1:そもそも確定申告が必要かどうか分からない
私の場合、フリーランス1年目の所得が35万円でした。「こんなに少ないのに申告必要?」と思いましたが、基礎控除48万円以下でも、源泉徴収されていれば還付を受けられることを知り、結果的に3万円戻ってきました。
壁その2:白色申告と青色申告の違いが謎
最初は「面倒だから白色でいいや」と思っていましたが、青色申告の65万円控除を知って愕然。同じ所得でも税金が全然違うことに気づき、急いで青色申告承認申請書を提出しました。
壁その3:経費の範囲が曖昧
「このカフェ代は経費?」「スマホ代は全額?按分?」毎日こんな疑問の連続でした。特に在宅ワークの光熱費や家賃按分は、税務署に聞いても「合理的な理由があれば」としか言われず、具体的な基準が分からず困りました。
壁その4:必要書類の整理が大変
請求書、領収書、源泉徴収票…どれを添付すべきか、どこまで保管すべきか全く分かりませんでした。特に請求書の添付については、クライアントによって形式がバラバラで整理に苦労しました。
実際にやってみて分かった「確定申告の正しいやり方」
ステップ1:申告の種類を決める(白色 vs 青色)
私が青色申告を選んだ決め手は、控除額の大きさでした。白色申告なら準備は簡単ですが、青色申告の65万円控除は魅力的すぎました。
青色申告のメリット(実感したもの)
- 65万円の特別控除で税金が大幅に安くなった
- 赤字を3年間繰り越せるので、初年度の赤字が翌年の黒字と相殺できた
- 家族への給与を経費にできる(私は夫に事務作業をお願いして月3万円支払い)
ただし、青色申告には複式簿記での記帳が必要です。最初は「複式簿記なんて無理!」と思いましたが、会計ソフトを使えば自動で仕訳してくれるので、思ったより簡単でした。
ステップ2:経費を正しく計上する
経費については、私も最初は恐る恐るでした。でも税務調査を受けた先輩フリーランスに聞いたところ、「合理的な理由があって、証拠書類があれば大丈夫」とのこと。
私が実際に経費計上しているもの
- 交通費:クライアント先への移動費(IC乗車履歴で記録) -通信費:スマホ・ネット代の70%(仕事とプライベートの使用時間で按分) -光熱費:家賃の20%(専用作業スペースの面積比) -書籍代:業務関連の本は100%(領収書必須)
- カフェ代:打ち合わせや作業場所として使用時のみ
逆に、明らかにプライベートなものは経費にしません。グレーゾーンよりも、説明できるものだけを確実に計上する方が安心です。
ステップ3:医療費控除も忘れずに
これは意外な盲点でした。フリーランスになってから、肩こりや目の疲れで病院に行く機会が増えたのですが、医療費控除の存在を知りませんでした。
年間10万円以上(または所得の5%以上)の医療費があれば控除対象です。私の場合、歯医者の治療費が8万円、整体代が3万円で、合計11万円。1万円分の控除を受けることができました。
ステップ4:必要書類を整理する
確定申告で実際に提出が必要な書類は、思っているより少ないです。
必須の添付書類
- 源泉徴収票(クライアントから受け取ったもの)
- 医療費控除の明細書(医療費控除を受ける場合)
- 青色申告決算書(青色申告の場合)
請求書の添付は不要
これは意外でしたが、請求書を確定申告書に添付する必要はありません。
ただし、7年間は保管義務があるので、整理して保存しています。
確定申告で得られる「3つの実務メリット」
メリット1:クライアントからの信頼向上
確定申告をきちんとすることで、私はクライアントとの関係が劇的に改善しました。
具体的には、契約書の話になった時に「青色申告しているので、インボイス制度にも対応済みです」と言えるようになりました。
相手の経理担当者から「しっかりしているフリーランスさんですね」と評価され、その後の単価交渉もスムーズに進みました。
また、経費の考え方が身についたことで、プロジェクトの収支計算も正確にできるようになり、適正な価格提示ができるようになりました。
メリット2:節税効果による実質収入アップ
青色申告の65万円控除により、私の場合は年間約10万円の節税効果がありました。
これは単価を上げるのと同じ効果です。
クライアントに交渉をする前に、まず自分で節税をして、手元に残るお金を増やしましょう。
さらに、経費を適切に計上することで、課税所得を圧縮できます。
例えば、自宅作業スペースの光熱費按分(月1万円)だけでも年間12万円の経費増。
税率20%なら約2.4万円の節税です。
メリット3:事業の数字把握による戦略的判断
確定申告の準備を通じて、自分のビジネスを数字で把握できるようになりました。
月別の売上推移、クライアント別の収益性、経費率の変化…これらのデータを基に、どのクライアントに注力すべきか、どの業務を効率化すべきかが見えてきます。
例えば、私は確定申告のデータ分析で、A社からの案件は時給換算すると低いことが判明。
次年度は単価交渉を行い、20%のアップに成功しました。
今すぐできる確定申告準備の具体的行動
行動1:会計ソフトの導入(無料体験から始める)
私が使っているのは「弥生の青色申告」ですが、「freee」「マネーフォワード」なども人気です。
まずは無料体験で使い勝手を確認してみてください。
選び方のポイント
- 銀行口座・クレジットカードとの自動連携機能
- スマホアプリの使いやすさ
- サポート体制の充実度
行動2:青色申告承認申請書の提出(3月15日まで)
青色申告を希望する場合、申告する年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。新規開業の場合は、開業から2ヶ月以内です。
私は忘れそうになったので、スマホのリマインダーに登録しました。
e-Taxなら自宅からオンラインで提出できます。
ただ、マイナンバー連携にはなかなか手間取りましたけどね(笑)
行動3:領収書・請求書の整理システム構築
私は月末に1回、領収書をスキャンしてクラウドに保存するルールを作りました。
整理のコツ
- 月別にフォルダ分け
- ファイル名は「日付_項目_金額」で統一
- レシートは撮影後も原本保管
行動4:経費按分の基準設定
特に在宅ワーカーは、家事用と事業用の按分基準を明確にしておきましょう。
私の按分例:
車両費:業務使用距離比(30%)
家賃・光熱費:専用作業スペース面積比(20%)
通信費:使用時間比(70%)
よくある疑問・誤解Q&A
Q1. 所得が少ないと確定申告は不要?
👉 年間所得48万円以下なら申告義務はありませんが、源泉徴収されている場合は還付を受けられる可能性があります。私も初年度は還付で3万円戻ってきました。
Q2. レシートをなくした経費は計上できない?
👉 領収書がなくても、出金伝票で代替可能です。ただし、日時・相手先・金額・用途を明記し、可能な限り証拠資料を残しましょう。
Q3. 家族への給与は経費になる?
👉 青色申告なら「青色事業専従者給与」として経費計上できます。ただし、事前に届出が必要で、実際に業務に従事していることが条件です。
Q4. 確定申告を税理士に頼むべき?
👉 年間売上500万円以下なら、会計ソフトで十分対応できます。私も最初は税理士に相談しましたが、基本的な申告なら自分でできることが分かりました。
Q5. 間違いに気づいた場合の修正方法は?
👉 申告期限前なら修正申告書を提出、期限後なら更正の請求を行います。5年以内なら修正可能なので、完璧を求めすぎず、まずは提出することが大切です。
「制度の理解」と「実務対応」のあいだに、いつも不安があった。
確定申告って、本当に複雑で難しい…。
フリーランスとして一人で仕事をする中で、「これ、誰にも相談できないけど大丈夫かな…」と手探りになる場面、ありませんか?
「制度は知ってる。でも、実務でどう動けばいいのかがわからない」
そんな声をもとに作られたのが、CFQ(個人事業経営士)公式参考書です。
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この参考書は、単なる制度解説ではありません。
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■「誰にも聞けなかった」を解決する1冊
制度を理解するだけでは、安心して仕事を続けられません。
クライアントと信頼関係を築くために、知識と対応力は欠かせない。
この1冊があれば、もう一人で不安にならなくていい。
あなたの「事業者としての土台」を、そっと支えてくれる本です。
📘 CFQ公式参考書にはインボイスの基本が丁寧に解説されています。

まとめ:確定申告は「怖い手続き」から「成長の機会」へ
確定申告って、最初は「面倒で怖い手続き」だと思っていました。でも実際にやってみると、自分のビジネスを客観視する絶好の機会なんです。
まるで、散らかった部屋を大掃除するような感覚でしょうか。最初は「どこから手をつけよう」と途方に暮れますが、一つ一つ整理していくと、だんだん部屋(事業)の全体像が見えてきます。そして最後には、スッキリと整理された空間(正確な所得把握)が手に入ります。
私が確定申告を通じて学んだ最も大切なことは、「完璧を求めすぎないこと」です。
最初はミスがあっても構いません。修正すればいいのです。
大切なのは、一歩踏み出すこと。
あなたも今年の確定申告を、「面倒な義務」ではなく「ビジネス成長のステップ」として捉えてみてください。きっと、思っているより簡単で、そして意外と楽しい作業になるはずです。
フリーランスとしての自分を信じて、一緒に頑張りましょう。あなたなら、きっとできます。。
不安をそのままにするのではなく、学んで備えれば、あなたの自信につながり、その自信が信頼を生むという未来が待っています。
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